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2020.06.05

ヒブ感染症


ヒブとは  
ヒブはインフルエンザ菌b型(Hemophilis influenzae type b)の略称です。この菌は19世紀末に、インフルエンザの病原菌と考えられ、この名前が付けられました。しかし、その後インフルエンザは細菌感染症ではなく、ウイルス感染症と分かりました。
ややっこしいですが、インフルエンザ菌はいわゆる“インフルエンザ”の原因ではなく、喉頭炎、肺炎、化膿性関節炎そして髄膜炎などの原因となる細菌です。  


ヒブの髄膜炎  
ヒブの髄膜炎は生後3か月から5歳未満の乳幼児がかかりやすく、注意が必要です。1996年からの疫学調査では、日本の年間患者数は600人と報告されており、5歳になるまで2000人に1人がかかってしまうことになります。現在では、定期予防接種がされるようになり、年間患者数は減少しました。

ヒブの髄膜炎では、1か月程度の入院加療が必要になり、さらに25%の児に後遺症(発達障害、聴力障害、てんかんなど)を起こします。そして、死亡率も約5%と高い疾患です。  


ワクチンについて  
日本はワクチン後進国であることは知られていますが、ヒブワクチンの導入は他国に比べ20年間遅れました。少しヒブワクチンの歴史について触れておこうと思います。

ヒブワクチンは1990年代から欧米で使用され、ヒブによる感染症が激減しました。1998年にはWHO(世界保健機関)が小児への定期接種を推奨し、100か国以上で定期接種がされるようになりました。日本では2007年にヒブワクチンが承認され、当初は任意予防接種として認可されました。しかし、2011年にヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンを含む同時接種後の死亡報告が相次ぎ、1か月間だけ接種が1次見合わせとなりました。この7例の死亡報告を厚生労働省が調査したところ、予防接種と死亡との間に直接的な因果関係は見つからず、接種は再開されています。

現在も、予防接種の同時接種に関しては「それぞれ単独接種することができる旨の説明を行うこと。特に、ワクチンを受ける患者が重篤な基礎疾患にかかっている場合は、単独接種も考慮しつつ、ワクチンを受ける患者の状態を確認して慎重に接種すること」となっています。ただし、1本ずつ接種を行うと、5か月間毎週小児科に通うことになりますので、保護者と児の負担を考えるとあまり現実的ではありません。

ヒブワクチンの接種を行うことで、髄膜炎を含むヒブ感染症の80~95%を減らすことができると報告されています。
子ども達を守るために必ず接種をしましょう!


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