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2021.01.05

神経発達症(発達障害について②)


神経発達症(発達障害について②)  
神経発達症はDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)に記載されている大きなカテゴリーです。いわゆる発達障害と同意味と考えて構いません。
この中に様々な種類の疾患を含んでいます。

以前、発達障害の概論についても記載しましたので、そちらもご参照ください↓
発達障害

 
今回はもう少し細かく、掘り下げて記載致します。

 
自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder: ASD)  
従来は広汎性発達障害という分類の中に自閉性障害、アスペルガー障害、レット障害、小児期崩壊性障害などに分けられていました。現在のDSM-5では、広汎性発達障害という名称は廃止され、ASDという一つの診断分類ができました。
 
診断の概要
1.社会的コミュニケーションの領域
 ①対人的、情緒的関係に困難がある
 ②非言語的コミュニケーションを用いることが困難
 ③人間関係を発展させ、維持することなどが困難
2.限局された行動・興味の領域(下記①~④のうち2つ以上がみられる)
 ①常道的または反復的な身体の運動、物の使用、または会話
 ②同一性への固執、習慣への頑ななこだわり、儀式的行動様式
 ③きわめて限定された興味
 ④感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ
3.診断のために必要なこと
 発達早期から存在、社会的活動における障害、知的能力障害では説明できない
4.その他の評価事項
 ・社会的コミュニケーションに関する、現在の重症度評価
 ・限定された行動・興味に対する、現在の重症度評価
 ・知的障害と言語障害の有無と程度
 ・既知の医学的疾患、環境要因、他の精神疾患
 
さらにADHDとの合併がないか確認することも大切です。
 

注意欠陥多動症(attention-defieit/hyperactivity disorder) 

従来は破壊的行動障害の一つとされていましたが、DSM-5では神経発達症の一つとされています。診断の詳細は割愛しますが、不注意優勢型、多動・衝動優勢型、混合して存在する場合があります。
 

診断の概要
1.不注意の領域 ①~⑨のうち6つ以上、6か月以上持続
 ①不注意な間違い
 ②注意の持続が困難
 ③聞いていないようにみえる
 ④義務遂行が困難
 ⑤順序立てて課題をできない
 ⑥精神的努力を避ける
 ⑦物をなくす
 ⑧刺激に気が散る
 ⑨日々の活動で忘れっぽい
2.多動性・衝動性の領域 ①~⑨のうち6つ以上、6か月以上持続
 ①手足をそわそわ動かす
 ②席をはなれる
 ③走り回る
 ④静かに遊べない
 ⑤じっとしていない
 ⑥喋りすぎる
 ⑦質問が終わる前にこたえる
 ⑧順番を待てない
 ⑨他人の邪魔をする
3.診断のために必要なこと
 12歳以前に発症、2つ以上の状況で症状がみられる、社会的機能を損なう、他の精神疾患では説明できない
4.その他の評価事項
 ・優勢な症状の特定(不注意優勢、多動・衝動性優勢、混合型)
 ・部分寛解しているか
 ・重症度(軽度、中等度、重度)



限局性学習症
実年齢より学業的技能が著明に低く、文字を読む、読んだ意味の理解、綴字(文字を書く)、文章記述、数概念や計算、数学的推論のうち、一つ以上が困難なことです。
 

知的能力障害群
従来は精神遅滞という言葉でしたが、現在は知的能力障害という名称です。従来は知能指数が70と基準値があったが、現在は記載がないです。
 

コミュニケーション症群 

言語症は従来の言語発達遅滞に相当します。語音症は正しい発音ができない機能性構音障害に当たります。小児期発症流暢症は音声や音節を反復する症状です。社会的コミュニケーション症は基礎的な会話能力があるが、社会的状況に応じたコミュニケーションができないことです。
 


運動症群  
運動症群は発達性強調運動症と常同運動症があります。前者は複数の筋肉が連動して、物をつかむ、などすることです。後者は手をひらひらするなど一見無目的な同じ行動を繰り返すことです。ASDの症状として出現することもあります。



チック症群  
チック症群は突発的ですばやく一定のリズムで繰り返される不随運動や発声です。この中にトゥレット症など様々なチック症が含まれます。
 


他の神経発達症 

上記のどれにも該当しないものです。
 


ご家族の方へ  
今回はDSM5に記載されている神経発達症(いわゆる発達障害)の分類について記載しました。
もし自分と子どもの関係性に不安がある場合には、小児科や児童精神科に相談することをおすすめします。 相談することで、子どもにとって苦手なことが分かり、その結果お互いの関係性がよくなることも多く経験します。

心と体の健康を見守る街のお医者さん
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