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2020.05.01

夜尿症の治療


夜尿症の治療  
前回は夜尿症の診断、治療開始の目安、夜尿症のタイプ、夜尿症の治療の流れに関して記載しました。

夜尿症


今回は、より具体的な夜尿症の治療法に関して説明していきます。
まずは、生活改善および日誌を2週間から1か月記録し改善を試みます。
 


生活改善のポイント  
 ・規則正しい生活をする。 
夜更かしや不規則な生活は「おねしょ」を悪化させます。早寝、早起き、決まった時間の食事摂取を心がけましょう。朝食、昼食はしっかりとりましょう。
また、夕食は少し控えめにして早めの時間にとり、夕食から寝るまでは2~3時間あけましょう。
 ・水分の取り方に気を付ける。 
寝る前に水分を取りすぎると、おねしょにつながります。ただし、水分は体にとても大切なので、朝食と昼食ではたっぷり取りましょう。昼食後からは水分を控えめにし、夕食後から就寝前まではコップ1杯程度の水分摂取にとどめましょう。
  ・塩分を控える。 
塩分の取りすぎは、のどの渇きからおねしょの原因となる水分の取りすぎにつながります。また塩分の取りすぎは水分を取りすぎていない場合でも、おねしょの原因となります。

 ・便秘に気を付ける。 
便秘は、便が腸に大量にある状態であるため、膀胱を圧迫し、おねしょの原因となることがあります。食物繊維を多く含む野菜・果物・豆類・イモ類などを食べましょう。
便秘に関しては、下記リンクもご参照ください。
便秘症


 ・寝る前にトイレにいく。 
トイレに行ってから寝る習慣をつけましょう。布団に入り30分~1時間寝付けない場合はもう一度トイレに行きましょう。

 ・寝るときの寒さから守る。 
寒さ、冷えは尿量の増加や膀胱の縮小につながります。特に冬は、下着を重ね、靴下を履き、体を冷えから守り、温かくして寝ましょう。
 ・無理にトイレに起こさない。 
保護者の都合で夜中に無理にトイレに起こしても、夜尿症治療に効果はありません。
ただし、宿泊行事の時に、あくまで緊急避難的に起こすことは問題ありません。
 



薬物療法・アラーム療法  
生活習慣の改善および日誌で「おねしょ」の改善が認められない場合、薬物治療もしくはアラーム療法を行います。 
薬物療法の基本は、デスモプレシン製剤となります。追加で抗コリン約を追加する場合もあります。
薬は就寝1時間前に内服します。効果が不十分な場合は増量することも可能です。
薬物療法の欠点は、投薬中止後の再発率が40%と高いことが知られています。
再発を防ぐために投与間隔を少しずつ伸ばします。(確実投与→3日に1回→5日に1回→7日に1回→中止)
また、重大な副作用として水中毒が知られています。

・過度に飲水した場合
・感染症にかかり水分補給が必要な場合
は医師と相談した上で、投薬を中止することが必要です。
アラーム療法は、アラームセンサーをパンツに装着するコード型と、アラームセンサーがおむつについているワイヤレス型があります。 夜間に「おねしょ」がありセンサーが鳴った時に患児を起こす治療法です。
自費でアラームを購入していただく必要があります。

・ウェットストップ(コード型)
・ちっちコール(コード型)
・ピスコール(ワイヤレス型)
などがあります。

アラーム療法は特に子どもと保護者両方の理解と根気が必要な治療法です。治療は6週間から6か月継続します。治療効果がみられた後も、14日間連続で夜尿が消失するまで治療を継続する必要があります。
アラーム療法は薬物を使わないですみますが、ドロップアウトが約30%と高いことが知られています。
 


夜尿症で悩むパパママへ
 ①パパママが治癒にあせらないで! 
小学校入学後も「おねしょ」をしていると、周りのお子さんと比較して焦ってしまうと思います。パパママの焦りはお子さんへのメンタルヘルスにも悪影響を及ぼします。
大らかな気持ちで見守る姿勢が大切です。

 ②「おねしょ」を叱らない! 
本人も「おねしょ」をしたくてしているわけではありません。叱っても根本的な解決になることはなく、精神的ストレスが増すだけです。

 ③「おねしょ」をしなかった日には褒める! 
夜尿がない日に褒めることは治療上、効果的であることが知られています。自発的にトイレに行くようになったことも褒めてあげてよいと思います。

 ④排尿日誌は子どもに記載させる! 
排尿日誌を本人に記載させることで、本人が生活習慣を確認し、改善すべき点に気づきやすくなります。小学校低学年では、パパママと一緒に記載し、高学年では自分で記載させましょう。

 ⑤学校の宿泊行事の対応! 
多くの夜尿症の子どもは、宿泊行事への参加をためらいます。しかし、行事の不参加は自尊心の低下やいじめのきっかけになることもあるため、可能な限り積極的に参加しましょう。親と子どもの同意が得られれば、学校の先生にも予め知らせておき、必要があれば夜間に排尿誘導してもらうことも重要です。排尿誘導してもらう場合には、何時ごろに「おねしょ」が多いか把握し、その前にトイレに起こしてもらう必要があります。



 
 
心と体の健康を見守る街のお医者さん
コアラ小児科アレルギー科

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