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2026.11.05

【喘息の薬モンテルカストでADHDが1.4倍?】急にやめないでほしい理由と家で見るポイントを解説する動画【小児科医が解説】

https://youtu.be/wOZMrkkmbnE
喘息の子どもによく使われている飲み薬、モンテルカスト(商品名シングレア、キプレス)。この薬を飲み始めた小さな子どもで、ADHDと診断される割合が1.4倍だったという論文が、2026年10月に海外の医学雑誌に出ました。
この結果は、まだ「関係があるかもしれない」という段階で、専門家の間でも見方が分かれています。今飲んでいる薬を、自己判断で急にやめないでください。
この動画では、何が分かって、何がまだ分かっていないのか、親として何をすればいいのかをお話ししています。

■モンテルカストはどんな薬か
喘息は、空気の通り道である気管支に、いつも炎症がくすぶっている病気です。発作が起きていないときも炎症をしずめておくために毎日使う薬を、長期管理薬といいます。長期管理薬の柱は、吸入ステロイドと、モンテルカストのようなロイコトリエン受容体拮抗薬という飲み薬の2つです。飲み薬は、吸入が難しい小さな子でも使いやすいのが長所です。

■今回の論文で分かったこと
アメリカとカナダ・ケベック州の医療データを使い、最初の長期管理薬としてモンテルカストを始めた子と、吸入ステロイドを始めた子を比べた研究です。合わせて9万7,000人以上で、その多くが1歳から5歳の小さな子です。
モンテルカストを始めた子のほうが、あとでADHDと診断される割合が1.4倍でした。反抗的な態度や問題行動に関わる診断も1.43倍でした。一方で、うつや不安の病気が増えるという結果は出ていません。
人数に直すと、吸入ステロイドの子でADHDと診断されるのが1年間に1,000人あたりおよそ7人、1.4倍でおよそ10人です。上乗せは1年に1,000人あたり3人ほどという計算になります(論文の数字からの概算です)。

■薬がADHDを起こすとは言えません
この研究は、薬をくじ引きで割り当てたのではなく、実際に医師が選んだ結果をあとから比べた「観察研究」です。モンテルカストが選ばれた子と吸入ステロイドが選ばれた子には、もともと違いがあったのかもしれません。研究ではその違いをできるだけそろえていますが、完全には消せません。
ほかの研究を見ても、結果は分かれています。台湾やスウェーデンの研究では増えていませんでした。一方、アメリカ中心の別の研究では、吸入ステロイドにモンテルカストを足した子で、心や睡眠の病気と診断される割合が高くなっていました。
今は「関係はないと言い切れない。でも、関係があるとも言い切れない」というのが正直なところです。

■心の副作用への注意は、これまでもありました
アメリカの食品医薬品局(FDA)は2020年に、この薬の説明書に枠囲みの警告をつけました。悪い夢、眠れない、イライラ、攻撃的になる、重いものでは自殺を考えるといった、心の副作用が報告されているためです。イギリスでも2024年に同じような警告が加わりました。
日本の添付文書にも、因果関係は明らかではないものの精神症状が報告されているので、患者さんの状態を十分に観察するよう書かれています。

■今飲んでいる子はどうすればいいか
・自己判断で急にやめない。喘息の薬をやめるかどうかは、症状が落ち着いている期間や季節を見ながら主治医と決めます。喘息は秋に悪化しやすいので、今は特に気をつけたい季節です。
・家では睡眠と行動を見る。寝つきが悪くなった、夜中に何度も起きる、怖い夢を見て泣く、かんしゃくが増えた、落ち着きがなくなった、といった変化に気づいたら、メモして次の受診で主治医に伝えてください。
・飲み始めてから数週間から1か月くらいは、特によく見てあげてください。
・変化が強いときや、本人がつらそうなときは、次の受診を待たずに相談して大丈夫です。

■最初から吸入ステロイドにすればいいの?
吸入ステロイドは発作を減らす力がしっかりした薬で、世界のガイドラインでも中心に置かれています。ただ、長く使った子で大人になったときの身長が平均1.2センチ低かったという研究もあります。だから、必要な量をできるだけ少なく使い、成長曲線を見ながら続けます。
どの薬にも、得意なことと気をつける点があります。年齢、吸入ができるかどうか、喘息の重さ、ご家族の心配をふまえて、主治医と一緒に決めるのがいちばんです。

■今日いちばん覚えてほしいこと
薬を急にやめないで、睡眠と行動の変化を見て、主治医に伝えてください。
夜間にゼーゼーが強くて心配なときは、子ども医療電話相談の#8000も使ってください。

■参考資料
・堀向健太先生 note「モンテルカストでADHDが1.4倍?『リスクは低い』と考えていた小児科医が、5つの研究を読み直してわかったこと」 https://note.com/ped_allergy/n/nfbd7a3c8aead
・Jiao XF, et al. BMC Medicine 2026;24:536
・FDA 2020 枠囲み警告 https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-requires-boxed-warning-about-serious-mental-health-side-effects-asthma-and-allergy-drug
・英国MHRA 2024 https://www.gov.uk/drug-safety-update/montelukast-reminder-of-the-risk-of-neuropsychiatric-reactions
・キプレス/シングレア添付文書

この記事は一般的な医療情報です。お子さんの具体的な症状や薬のことは、かかりつけ医にご相談ください。
心と体の健康を見守る街のお医者さん
コアラ小児科アレルギー科

〒330-0062 埼玉県さいたま市浦和区仲町1丁目3-5
クリニックステーション浦和仲町2階

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