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2020.12.01

22q11.2欠失症候群


22q11.2欠失症候群  
22q11.2欠失症候群は染色体微細欠損の中で最も頻度が高い疾患です。症候群が発見された時点では、Hellerの小説からCATCH22と呼ぶことが提唱されましたが、差別的な意味合いがあることから、現在では22q11.2欠失症候群と呼ばれています。

頻度は4000人~5000人に1人と言われており、生まれつきの心臓病の約3%に認められます。ほとんどが散発性ですが、常染色体優勢遺伝形式をとる場合もあります。  


症状・合併症  
・顔貌
顔が縦に細長く、眼間隔離、眼裂狭小、小さな口、小顎症などの特徴があります。鼻咽腔閉鎖不全や口唇口蓋裂を合併することが多いため、鼻声のような声が特徴でもあります。

・心血管系疾患
約80%に心奇形を合併します。特にファロー四徴症の合併が多く、なかでも肺動脈閉鎖や主要体肺側副血行路の合併が多いことが知られています。他にも、大動脈弓離断や血管輪など血管系の異常を合併することが頻度として高いです。
 

ファロー四徴症に関しては下記参照
Fallot四徴症

 

・乳児期の問題
小顎や鼻咽腔閉鎖不全のため哺乳不良、発育不良となることがあります。胃食道逆流や慢性便秘が認められることもあります。

・脳神経系疾患
脳萎縮、小脳性失調、けいれん、二分脊椎などを合併し、軽度の発達遅滞を認めることが多いです。

・免疫異常
DiGeorge症候群を代表とした、胸腺の低形成を代表とするTリンパ球の異常があることが多く、感染症を繰り返す場合があります。

・精神・神経系疾患
軽度の精神発達遅滞を認めることが多く、数字の概念や読解力が弱い学習障害となる場合があります。成人では統合失調症が問題となるケースがあります。


 
診断  
出生した児の血液検査で染色体解析することで診断することができます。
 


遺伝に関して  
特発例の場合は、兄弟での再発率は一般頻度と同様です。ただし、両親のどちらかが欠失を有する場合は、常染色体優性遺伝であるため、兄弟での再発率は50%となります。


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