HPVワクチンについて
HPVワクチンは日本において、2010年11月から小学6年生~高校1年生の女性に無料接種(任意予防接種)が開始されました。2013年4月に定期予防接種となりましたが、副反応とされる症状が相次ぎ報告され、わずか2か月で「積極的な接種勧奨」が取りやめになりました。
私は当時も小児科医として実際に複数人に予防接種をしていました。テレビを中心としたメディアが一斉に副作用や副反応に対して報道を行い、私自身もショックを受けた記憶があります。
現在は積極的な勧奨の中止のもとで、定期予防接種として行われていますが、現在の接種率は0%に近い状態が続いています。
日本小児科学会や日本産婦人科学会をはじめ多くの学会は接種を推奨しています。
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/20170626_HPVkenkai.pdf 今年7月には、9価HPVワクチンである(シルガード)が承認されました。
当時行われた報道に関して
予防接種との因果関係を問わず、その後に起こった医学的症状のことを「有害事象」と呼びます。HPVワクチンが定期予防接種になった前後から「このワクチンを打った後に、麻痺などが起こった」など様々な有害事象の報告があり、これを薬害事件としてメディアが一斉に報道しました。この報道は社会問題化し、厚生労働省が「国民に適切な情報提供ができるまでの間」「積極的な勧奨の中止」を発表しました。
厚生労働省の報告では、HPVワクチンの有害事象として、頭痛、倦怠感、疼痛、発熱、めまい、悪心、失神、疲労などが報告されています。対して、報道機関によっては「体が動かなくなる」「記憶に障害がでる」「引きこもりになる」という神経系への影響が大きく報道されました。
実際に、こういった症状が予防接種による影響かどうか調べるために行われた研究が名古屋スタディです。この研究では、名古屋市の7万人を対象に、接種者と非接種者の症状を比較するし、ワクチンと有害事象の関連性が認められなかったと報告がされています。(Papillomavirs Res. 2018 Jun;5:96-103)
一部の医師はHANSというHPVワクチンによって自己免疫性の疾患が起こっていると考え研究をしていますが、今のところ科学的な根拠が乏しいと考えられています。
HPVワクチンの効果
子宮頸癌の95%がHPVにより引き起こされることが知られています。男性においては中咽頭癌や肛門癌の原因としても知られています。
9価のHPVワクチンは、HPVで起こる癌の90%程度を防ぐことができるといわれています。HPVワクチンは現在も世界中で使用されている安全性が担保された予防接種です。 決められた期間であれば費用負担なく接種することも可能です。
接種に関して悩んでいる方は、小児科までご相談ください。
心と体の健康を見守る街のお医者さん
コアラ小児科アレルギー科
〒330-0062 埼玉県さいたま市浦和区仲町1丁目3-5
クリニックステーション浦和仲町2階
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